1. 概要
中国の付加価値税(VAT)は物品の製造・販売、サービス提供、修理、加工、輸出入といった多様な取引に課税される間接税であり、中国税収の最大の割合を占めます。標準税率13%に加え、一定の農産品や書籍には9%、現代サービス業や技術転移には6%などの軽減税率が設けられています。小規模納税者制度では3%の簡易税率が適用され、仕入税額控除は認められません。国外事業者であっても、中国国内における課税売上高が一定のしきい値を超える場合はVAT登録が義務付けられ、電子サービス提供者には特別な登録制度が設けられています。
2. 主要トピック
登録と一般課税者認定
VAT登録の要否は売上規模と事業形態に左右されます。年間売上が500万元(参考値)を超える事業者は一般課税者として認定され、発票の発行と仕入税額控除が義務付けられます。外国企業でも、中国に恒久的施設や倉庫を持つ場合、または越境電子サービスで一定額以上のB2C売上を上げる場合は登録が求められます。自然人の単発取引については同一月内の取引を合算してこの基準を適用する必要があり、売上を分割して免税を享受する行為は認められません。
インボイス(発票)制度
中国のインボイス制度は、2026年施行の増値税法で紙と同等の法的効力が認められた電子インボイス(全面デジタル化電子発票)への移行が加速しています。2026年6月末には多くの地域で紙発票が廃止され、税務機関が発行・転送から記帳・控除までの全データを把握する「数智化」管理へと移行しました。一般納税者は発行した電子インボイスにより、購入者の仕入税額控除を可能とすることが義務付けられており、電子インボイスなくして控除は認められません。この完全デジタル化により、企業は税務調査の迅速化や管理コスト削減といったメリットを得られる一方、税務機関によるビッグデータ分析を通じた厳格なリスク監視に留意することになります。
デジタルサービスとプラットフォーム課税
外国のデジタルサービス提供者が中国の顧客(特に個人)に対しアプリ、動画配信、オンラインゲーム等を提供する場合、一定の売上規模を超えるとVAT登録が必要になります。B2B取引では購入者側がリバースチャージで申告・納付を行いますが、B2C取引では供給者が自らVATを計算し申告しなければなりません。また、2025年4月からは「指定プラットフォーム事業者」が介在するB2Cデジタルサービスに対し、プラットフォーム側が供給者とみなされ、税務申告義務を負う制度が導入されます。これにより海外の開発者はプラットフォームへの情報提供と税関連データの整備が求められます。
申告・記録管理
一般課税者は通常毎月申告を行い、税額は発票に基づき算出します。申告期限は翌月15日までで、遅延すると延滞金や罰金が課せられる可能性があります。増値税専用発票(紙または電子)の厳格な管理が義務付けられており、不正発票の取得・発行は刑事罰の対象となります。デジタル発票の普及に伴い、電子発票システムの導入と内部統制の整備が欠かせません。
輸出取引と還付
中国から海外への輸出は、零税率または免税扱いとなります。国内仕入時に支払ったVAT(入力税額)は輸出還付として払い戻されるため、輸出業者にとって重要な収益源です。還付を受けるには、税関の輸出許可通知書、発票、契約書、支払証憑などの書類を整備し、税務当局への申請を行う必要があります。最近では、還付審査の厳格化により輸出申告の名義や通関単位が外国企業自身であることが重視されており、取引の実態と書類の整合性が求められます。
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