1. 概要
中国では外貨の流出入に厳格な管理が敷かれており、国際取引や海外送金を行う際には国家外貨管理局(SAFE)の規定と税務総局の通達に従う必要があります。外貨取引は「資本取引」と「経常取引」に区分され、貿易取引やサービス取引に係る支払いは比較的自由化されている一方、投資・融資など資本取引は依然として規制が強いです[17]。外国企業が中国からサービス料や配当、ロイヤルティ等を受け取る場合、税務手続きと外貨管理手続きを適切に整えることが支払いの遅延や送金拒否を防ぐ鍵となります。
2. 主要トピック
外貨管理制度と銀行手続き
中国の外貨管理はSAFEおよび税務当局によって行われ、貿易取引に伴う外貨支払いは指定銀行を通じて実施されます。輸出入取引では、企業は実際の取引証憑(契約書、インボイス、通関書類など)を提示し、銀行から外貨を購入して海外送金することが許可されます[18]。2012年以降、SAFEは商品貿易に関する外貨管理を逐次検査からオフサイト管理へと切り替え、データベース上で貨物の流れと資金の流れを突合する制度を導入しました[19]。
サービス取引の税務記録制度
サービス取引や配当、ロイヤルティ、利子など貿易外取引に関する海外送金には、従来はTax Clearance Certificate(TCC)が必要でしたが、2013年のSAFE・税務総局共同公告(Announcement 40)により、税務事前記録制度に置き換えられました[20]。これにより、1回あたりの送金額が50,000米ドルを超える場合、支払者は税務局に記録を提出し、記録完了後に銀行で送金手続きを行う流れとなっています[21]。2021年の最新通達では、同一契約に基づく複数の送金については1回の記録で足りるように簡素化され、オンライン(E-tax)での電子提出も可能となりました[22]。
租税条約と受益的所有者
記録手続きを行ったからといって、直ちに租税条約の軽減税率を享受できるわけではありません。条約に基づく減免を受けるには、「非居住者納税者租税条約待遇申請書」などの情報報告フォームを提出し、受益的所有者であることや居住者証明書などを提出する必要があります[23]。源泉徴収義務者(中国の支払者)は書類の完全性を確認し、適用条約に従って税額を計算して納付した後、国税局に報告します。書類が不備の場合、国内法に基づく税率(通常10%)を適用した源泉徴収が行われます[24]。
よくある課題と対策
- 書類不備による送金遅延:
送金の根拠となる契約書、インボイス、税務記録書類の不備は、銀行が外貨購入を拒否する理由となります。税務記録は送金前に行い、受領者側の納税義務が明確になっていることを確認する必要があります。 - 税務分類の誤り:
技術サービス料とロイヤルティ、配当と譲渡収益など、所得の性質を誤って記載すると税率や手続きが変わるため、契約文言と実態の整合性を重視する必要があります。 - 送金限度額と累積管理:
1回50,000米ドル超の送金には記録制度が適用されますが、複数回の送金を合算して監視する動きが強まっており、大口送金を分割して回避する行為は不正とみなされる可能性があります。 - 本社への利益送金:
配当送金やサービス料送金に適用される源泉税や記録手続きを遵守しつつ、利益再投資やロイヤルティの社内振替などさまざまなスキームを検討することが求められます。
4. 我々のサービス
我々は、中国制度の包括的な理解と国際税務の視点から、以下のようなサポートを提供しています:
コンプライアンス
法人所得税申告・納付、VAT一般課税者登録・申告納付、駐在員IIT申告・納付、その他関連税目の申告代行と、地方税務局や金融機関との調整。
資金回収スキーム
外国本社や他国関連会社との二重課税回避および税務効率の高い資金移動スキームの設計。
クロスボーダー税務
国際税務専門家による移転価格分析、再編スキーム策定、CFC対応支援により、グループ全体の税務リスクを軽減します。