1. 概要
中国の税制は付加価値税(VAT)と法人所得税(CIT)を主軸とし、消費税や個人所得税、資源税・都市建設税など多様な税目で構成されています。VATは製造・流通・サービス・輸出入と幅広い取引を対象とし、税収全体に占める割合が最も大きいことから、中国財政の根幹を支えています。CITは2008年の新税法施行により国内企業と外国投資企業へ25%の単一税率が適用され、高新技術企業や西部大開発地域の企業には15%などの優遇税率が認められています。個人所得税(IIT)は累進税率で課されるものの、税収全体での比重は小さく、また、地方税としての資源税や土地使用税などが地方財源を補っています。
2. 主要トピック
増値税(VAT)
中国の増値税(VAT)は、物品販売、サービス提供、無形資産の譲渡および不動産取引等に対して課される間接税であり、欧州諸国で採用されているVAT制度や日本の消費税と同様に、事業者が付加した価値に対して課税される仕組みです。事業者は、売上時に顧客から受領した増値税(Output VAT)から、仕入や経費に係る増値税(Input VAT)を控除し、その差額を税務当局へ納付します。税率は取引内容に応じて主に13%(物品販売等)、9%(不動産・運輸等)、6%(サービス・無形資産等)が適用され、輸出取引については原則としてゼロ税率が適用されるため、一定の条件の下で仕入時に負担した増値税の還付を受けることができます。
法人所得税(CIT)
税率25%が基本ですが、高新技術企業、先進製造業、交通インフラや環境保護事業などには15%の優遇税率が適用されます。小規模・薄利企業には実効税率を5〜10%程度まで抑える政策が2027年まで延長されており、税負担の軽減が図られています。また、外国企業が中国に常設事務所や営業拠点を持たない場合は、中国源泉所得に対して10%の源泉徴収税が課されます。
個人所得税(IIT)
給与所得には3〜45%の累進税率が適用され、配当や利子、ロイヤルティ収入には一定の固定税率が設けられています。外国人の滞在期間や雇用形態によって税義務が異なるため、駐在員の税務管理も重要な検討事項です。
地方税およびその他の税金
都市維持建設税、教育付加税、土地使用税、印紙税などが地方政府の主要財源となり、事業内容に応じて多数の税目が適用されます。土地取得や不動産投資の際には、土地増値税や契税も考慮する必要があります。
3. 実務上の留意点
頻繁な制度改正への対応税
国務院や国家税務総局は通達を頻繁に発出しており、税率や申告方法、優遇政策の変更が毎年のように行われます。業種・地域ごとの特則も多いため、定期的な情報アップデートが不可欠です。
税務カレンダーの管理
VATやIITは通常月次で申告・納付を行い、CITは四半期ごとに暫定申告を行った後、翌年5月末までに年度申告を完了します。電子申告システム(E-tax)によりオンライン申請が義務付けられているため、適切なアカウント設定と代理人等の指定が必要です。
二重課税回避と移転価格
国際的な事業構造を持つ企業は、中国側と本国側の税制を調和させる必要があります。移転価格文書化や二国間APA(事前同意制度)の活用により、税務リスクと経済的負担の最小化を図ることが推奨されます。但し、2国間APAについては申請から結果が至る迄極めて長い期間を要することに留意が必要です。
5. 我々のサービス
我々は、中国税制の包括的な理解と国際税務の視点から、以下のようなサポートを提供しています:
コンプライアンス
法人所得税申告・納付、VAT一般課税者登録・申告納付、駐在員IIT申告・納付、その他関連税目の申告代行と、地方税務局や金融機関との調整。
資金回収スキーム
外国本社や他国関連会社との二重課税回避および税務効率の高い資金移動スキームの設計。
クロスボーダー税務
国際税務専門家による移転価格分析、再編スキーム策定、CFC対応支援により、グループ全体の税務リスクを軽減します。