中国個人所得税と海外社会保険 はじめに 日本企業から中国に赴任する駐在員などについて中国個人所得税を計算する際、見落とされやすい項目の一つが、 日本その他の国で会社が負担している社会保険料 です。 中国で課税される給与は、中国国内で実際に本人へ振り込まれる給与だけとは限りません。 中国個人所得税法上の「給与・賃金所得(工资、薪金所得)」には、給与、賞与、手当等だけでなく、任職又は雇用に関連して取得するその他の所得も含まれます。...
【2026年中国企業会計基準の改訂】損益計算書の表示変更と営業外収入・営業外支出の見直し はじめに 2026年、中国の財政部は「企業会計準則第30号――財務諸表列報」を改訂し、企業の損益計算書の表示方法を大きく見直した。今回の改訂は、国際財務報告基準(IFRS)との継続的なコンバージェンスを進めるとともに、企業の利益構造をより明確に表示し、財務情報の比較可能性と透明性を高めることを目的としている。 今回の改訂について、「営業外収入」「営業外支出」の科目が廃止されると説明されることがある... governance
2026年中国増値税申告表の変更点 はじめに 中国では2026年1月1日から「中華人民共和国増値税法」および「増値税法実施条例」が施行され、増値税制度が新たな法体系のもとで運用されている。これに伴い、国家税務総局は2026年2月1日付で「国家税務総局による増値税納税申告関連事項の調整に関する公告」(国家税務総局公告2026年第6号)を公布し、増値税申告における一部の記載方法を調整した。 今回のポイントは、増値税申告表そのものが全面的...
中国の税務上の永住者となる場合の留意点 はじめに 中国での勤務や生活が長期化すると、「中国の税務上の居住者になるのか」「日本にある預金、株式や不動産から生じる所得も中国で申告する必要があるのか」が重要な問題になります。 この問題については、「中国に183日以上滞在すると、直ちに全世界所得が中国で課税される」と説明されることがあります。しかし、中国に住所を有しない外国人の場合、183日基準だけで最終的な課税範囲が決まるわけではありません。...
中国の新増値税制度 はじめに 中国で事業を展開する日本企業や外資系企業にとって、増値税(Value Added Tax:VAT)は最も重要な税務コンプライアンス項目の一つである。 中国の増値税制度は、日本の消費税と同じく付加価値に対して課税する間接税であるが、制度設計や税務管理方法には大きな違いがある。 特に中国では「発票(ファーピャオ)」と呼ばれる公式インボイス制度が税務管理の中心となっており、適切な発票取得ができ... tax
中国増値税における仕入税額の費用化 はじめに 中国増値税において、免税売上に対応する進項税額が控除できず、原価又は費用へ振り替えられることは、実務上極めて重要な論点です。特に、日系企業が中国子会社の税務処理を日本消費税の感覚で理解しようとする場合、「免税」「零税率」「輸出退税」という用語の違いにより誤解が生じやすくなります。 本稿では、中国増値税における免税売上対応の進項税額処理、輸出退税率差によるコスト化、日本消費税における非課税...
外国会計事務所は中国で監査業務を実施できるのか はじめに 中国企業の海外展開や、多国籍企業グループによる中国投資が進展する中で、「外国の公認会計士や会計師事務所は、中国国内において監査業務を実施することができるのか」という質問を受ける機会が増えています。 この問題は、単に外国CPAや外国会計師事務所の資格の有無だけで判断できるものではありません。中国では、法定監査報告を発行できる主体が登録会計師及び会計師事務所に限定される一方、外国会計師事務所...
中国における納税義務違反 はじめに 中国へ進出する日系企業や、中国子会社を有する多国籍企業にとって、中国税務コンプライアンスへの対応は企業経営上の重要な課題の一つとなっています。近年、中国では税務当局による電子インボイス制度の普及、ビッグデータを活用した税務管理及び税務・社会保険情報の連携が進み、従来以上に納税申告内容の整合性が確認される環境が整備されています。 このような状況の下、法人税、増値税及び個人所得税等について申...
中国における外国籍従業員の社会保険 はじめに 中国へ従業員を派遣する日系企業や、中国現地法人を設立して外国籍従業員を雇用する企業にとって、個人所得税と並んで重要なコンプライアンス事項の一つが社会保険制度への対応です。 中国では、外国籍人員についても一定の場合には中国の社会保険制度への加入義務が課されます。一方で、日本との間では「日中社会保障協定」が発効しており、一定の要件を満たす駐在員については年金制度の二重加入を回避する仕組みが設...
中国における出張手当の課税関係 はじめに 中国に進出する日系企業において、出張手当の個人所得税上の取扱いは頻繁に問題となる論点の一つです。日本では一定の出張日当や旅費について非課税として取り扱われることが一般的ですが、中国では個人所得税制度及び税務実務が異なるため、日本と同様の感覚で制度設計を行うと税務リスクが生じる可能性があります。 特に外国籍駐在員に対する優遇制度が長年存在していることから、中国籍従業員と外国籍従業員とで課税...
【外国法人向け】中国会社法改正と資本金制度 はじめに 中国に子会社や合弁会社を設立する外国企業にとって、「資本金制度」は単なる会社設立手続ではなく、税務・会計・ガバナンス・外貨管理・連結財務諸表にまで影響する極めて重要な論点です。 特に近年は、2024年7月1日施行の新会社法(新公司法)により、従来の「認繳制(引受資本制)」の運用が大きく見直され、「設立から5年以内の払込ルール」が導入されたことで、既存の外商投資企業を含め、多くの外国企業が...